共通科目は何のためにある
専門学校などでは共通科目というものは珍しくないと思います。大学で言う一般教養科目ではなく、専門科目ではあるが、複数の学科にまたがっている科目です。
これの呼び名は様々にあると思いますが、要はそのような科目を今回の記事では共通科目と書かせていただきます。
さて、この共通科目は何のためにあるのでしょうか?
よくあるパターンとしては学科内にコースが複数ある場合に、それらに共通して必要な専門科目という場合です。このパターンは自然なものですので特に問題はありません。
ただ、気をつけるべきは大教室で行う事が多い(受講人数が多いので)事もあり、授業に集中できない学生も出て来るという点です。人数を時間割の関係上分けられない場合には、講義のやり方を気をつけないと不満に思う学生が出て来るでしょう。

時間割は学生の方を向いていますか?
問題となるのは単位の帳尻あわせのような形で組み込まれるケースです。
時間割を決めるというのは本当に大変な作業である事は経験としても分かります。担当講師を決めて、その先生方の授業可能曜日を確認してうまく時間割を決めなくてはいけません。それこそうまく行かなければ間に空き時間が何コマも出るなどかわいそうな学生も出てきてしまいます。
とはいえ、掛け持ちで複数の学校で講義をしている非常勤講師も多いため、パーフェクトな時間割を作る事はなかなかに至難であるとは思います。
その過程で生まれるのが、今回の共通科目に関係する無理やりな時間割設定です。本来はその学科ならばその講義を入れる必要はなく(それ以前に他の講義を入れるべき)という場合でも、何とか時間割を埋めるために、その学科の学生が求めてないような共通専門科目が入るケースをたまに見かけます。
学校側からすれば、大人数を一気に同じ時間に割り振れる便利なものかもしれませんが、自分が入った学科に期待していたものとかけ離れていると感じる学生からすれば苦痛以外の何者でもないでしょう。
予算の関係もあるかもしれませんが、そういう適当な時間割配分を恒常的に続けていると、いずれそれは学生募集にそのままかえってきます。
今や口コミで悪口を書かれる時代です(学校については悪口は書かれやすく、褒め言葉はそれほど書かれないという時代)。
カリキュラム内容が悪ければいろいろな所で評判として書かれ、それが次年度だけではなく、長い期間にわたってネット上に残ってしまうでしょう。その時になって改善しても、検索エンジンには過去の情報が残ったままになり、まさに広報担当を悩ませることになると思います。
学費に見合ったカリキュラムを真剣に考える
正直言えば、どの学校のWebサイトを見ても、あるいは学校案内を見ても、うまい事しか書いていません。それが真実かどうかは別としまして、最低でも求める学費に見合ったカリキュラム、そして経験のある講師陣を用意しなくてはいけません。
学費をもらったら学生募集は終わりになるのではなく、そこから始まると考えて下さい。入学した学生が満足・納得して卒業すればそれはそのままその後の学生募集に良い影響を与えますが、その逆に、不満を抱えてしまえば、悪い影響を与えるわけです。
とりあえず入学させればOKという浅はかな考えではなく、全ての学校活動が学生募集に密接に関係しているという点だけは常に意識をして下さい。広報のテクニックや制作物だけでどうにかなるものではないのです。
<文責:SEMアドバイザー亀田泰史>